「砥石」と書いて「といし」と読みます。
当たり前のようですが、「とぎいし」と読む人もいますし、最近では「ていせき」と読む人もいます。
それくらい砥石が一般的なものではなくなってきているということでしょうか。
砥石とはいったいどういうものなのか知る事から始めましょう。
砥石といえば包丁を研ぐためのレンガみたいな直方体の石を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、砥石は金属や石材を磨いたり研いだり削ったりするものもあり、いろいろな用途や形のものがあります。
広い意味で「砥石」はいろいろな種類を指しますが、このサイト「砥石のチカラ」で表記する「砥石」は、包丁を研ぐための砥石を指すことといたします。
昔は地質の硬い層から採掘した岩を平面加工して刃物を研いでいました。
これを天然砥石といいます。
それに対し、硬い粒子(研磨材)を四角く人工的に加工した砥石を人造砥石といいます。
一般的に流通しているのは人造砥石であり、天然砥石は現在少なくなっています。
天然砥石は現在採掘場が減っていることもあり、良質な天然砥石は高価で取引されています。
人造砥石の性能がよくなってきた現在でも、天然砥石を愛用する職人さんはたくさんいます。
天然砥石は良質なものを自分で目利きする必要もあり、高価で一般の人が扱うには敷居の高いものとなっています。
一般的にスーパーやホームセンターで売られているものは、ほとんどが人造砥石です。
人造砥石は天然砥石の研ぎ味を目指して造られてきたもので、現在では天然砥石と遜色ないほどに安定した刃物研ぎができる砥石が生産されています。
また、天然砥石のように性能にムラがなく、安定した粒度を選べるので非常に扱いやすい砥石です。
このサイトで「砥石」と表記しているものは「人造砥石」を指します。
包丁が切れる、切れないとはどういう状態なのでしょうか。
また、切れない包丁を砥石はどのように切れる包丁にするのでしょうか。
理屈がわかれば包丁研ぎも上達します。
切れる包丁は刃先の断面を見ると、薄く鋭利になっています。また、刃先の表面を拡大するとギザギザのノコ刃状になっています。
逆に切れない包丁は刃先の断面が丸くなっており、刃先の表面を拡大するとまっすぐな形状になっています。
包丁の刃は、まな板などの硬いものに当てられていくうちに、鋭利な部分が丸くなり、ギザギザの刃もまっすぐになっていきます。
一般的な包丁を毎日使っていると1ヶ月程度でこのような切れない刃になってしまいます。
砥石は包丁に使用されているステンレスや鋼などよりも硬い粒子(研磨材)を結合材で固めたものです。
包丁を研ぐときに、この硬い粒子と包丁がぶつかることで包丁が削れていきます。
包丁を削ることで刃先を鋭利にし、細かく欠けさせることでギザギザの刃を作っています。
そのとき砥石の硬い粒子も削れて丸くなり、砥石からはがれていきます(砥石も削られる)。
すると、新しい硬い粒子が砥石の表面に出てくるので、砥石の研ぐ性能は落ちません。
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